今年読んだ本で3番目くらいに面白かった。
トヨタが追いかけ続けた巨人、GM。

スローン・コンセプト 組織で闘う 「会社というシステム」を築いたリーダーシップ

いまや、世界でも知らぬ人は少ないのではと思われるGMの
基盤を作り、ここまで大きくした立役者
アルフレッド・P・スローンJrに焦点を当てた話だ。
1900年代初頭の自動車産業は
職人気質で、自動車を作ってきた人が
会社の経営者となるモデルだった。
その業界で、大学卒で
自動車を作ったことのない経営者は
当時は異例中の異例だったそうだ。
先代のデュラント氏の杜撰で無計画なやり方や
悪しき社内政治の蔓延があった。
紆余曲折を経て、スローン氏が社長になるわけだが
その腐りきった組織を変えていく彼の手法は
現代にも通用するものだろう。
ぜひとも本書で確認していただきたい。
商品を数字で管理している部門(財務、会計、製造)と
販売やメーケティングを担う部門では、
後者のほうが楽観的で希望を込めた数字を出してくるため、
予想には開きが生まれがちだった。
GMでの長年にわたる経験から、事業には並があること、 そして現実は営業部門の楽観的な予測ではなく冷徹な真実によってこそ 判断されるべきであることを彼は知っていた。
客観的かつ、物事を平等に判断することに
長けた人物であるということがわかる。
1世紀にもわたり、繁栄を続けた理由ではないだろうか。
本書は、ピーター・ドラッカー氏の発言が
ちらほらとのっているのも、見所のある点である。
企業経営とはなんぞやと思う人こそ
手に取るべき一冊ではないだろうか。
理数系に強いといわれるIT大国インドでのし上がった
企業ウィプロに焦点をあわせたビジネス書。

ウィプロという企業についてご存知でない方はこちらをどうぞ。
ウィプロには、どんな些細な不正を一切許さないという企業の姿勢があるそうだ。
グーグルにも似たようなのがあったように記憶していると思って検索したところ
「悪事を働かなくても金儲けはできる。」というフレーズを見つけた。
両者ともに社員の意識の高さが窺えるわけで、すばらしい理念だと
関心している。
見習わなければならないが、腹にストンと落ちない部分がある。
ウィプロでは政治工作が一切ないそうだが
ここは特に違和感を感じる。
会社でも学校でも、人間がいるところ力関係は必ず存在する。
駆け引きや、根回しが本当に存在しないのか。
それとも、二重構造になっていて、
表面しか見えないようになっているのではないかと
勘ぐってしまいたくなる。
本書はわかりやすく、「正しい企業像」というのを
読者に伝えている。
ウィプロのような企業で働ければ、経営者も従業員も
幸せであると理解できる。
が、メリットばかり並べたプレゼンテーションに説得力がないように
何らかのデメリット、弱点なる部分にもメスを入れて欲しかったなと
個人的には思った。
そのほうが企業も生き物であると感じられ、よりウィプロを理解できたのではないか。
日本の企業が今すぐにウィプロのようになるのは非常に難しい。
だが、見習うべき点は多々ある。
社員教育については、日本でも導入すべきだと考える。
日本の企業は思った以上に生産性が高いとはいえない。
その生産性の低さを支えるのが、長時間労働という
実に不幸な仕組が日本企業を蝕んでいる。
社会に出てからこそ知識や技術を学び続けなければならないし
それが生産性にも繋がるのだと本書を読んで感じ取ることが出来た。
これから、世界の富がどういう方向に向かうのか
より平等に富が再配分されていったときに
日本企業が生き残ることが出来るのか不安にさせる
怖く感じる書籍であった。
本書は、TACのCEOである斎藤博明氏の自伝である。

ビジネスの論理―私はいつも限界に向き合い、格闘し、限界を超えて生きてきた。

タイトルにある「ビジネスの論理」というからビジネス書と思われるかもしれないが、
自伝的要素が非常に強い。
本書の著者である斎藤氏はマイノリティな選択をし、
周りから罵られ、常識を問われる場面もあり、
しかも、その上で失敗を重ねてしまう。
普通と定義されるような人間なら、その時点で諦めるが
彼はそれを乗り越えるために限界を超える努力を重ねて
今の彼が存在しているということが、ひしひしと伝わってきた。
家族、特に母親の支えもあり、公認会計士の試験に合格するために上京し
1日3時間の睡眠、試験1ヶ月前には、それが2時間。
そんな極限まで追い込んだ死闘の末に不合格となってしまう。
(後に泣きの1年で合格するのだが)
公認会計士試験に合格後も、TAC設立からも
あるときは強大なライバル校であったり、
あるときは身内側であったりと、数々の試練が襲い掛かる。
そして、それをどう対処するかは見ものである。
これは、ただの自伝でなく、険しい山々に挑み続けた
死闘の記録だといえる。
表向き、華やかに見えるところの裏側で何があるのか
それに興味がある人は手に取ってみるのも悪くない。
ライブドア・ショックからもう1年を過ぎた今、明かさせる事件の裏側
そして、今後のライブドアはどうなるのか。


ハードカバーで278ページで1500円、可も不可もないといったところ。
白い表紙がクリーンな印象でこれも悪くない。
文字が大きく、余白も多いため
読書時間は約1時間ほどで読みきれる。
あの日ライブドアに何があったのか
最初のページをめくり、この文字を見た人は一気に吸い込まれるだろう。
特に去年のLDショックを見、堀江貴文元社長が逮捕された一連の報道
一体、その舞台裏で何があったのか、そして新社長の平松庚三氏が
どんな人物であるか、知っている人はそう多くないのではないだろうか。
平松庚三氏はソニー、アメックス、AOLなどを渡り歩いた経歴をもち
一見、華やかなキャリアを積み重ねているようだが
順風満帆に積んできたわけでなく、
かなりのリスクを背負っているのが本書でわかる。
氏は前社長の堀江貴文より年老いているし、派手な言動はあまり見られない。
世間一般ではそんな彼が地味な印象をもたれがちかもしれないが
本書は、その印象をガラリと音を立てて崩してくれる。
ライブドア社長になった経緯から入り、一気に吸い込まれるように
彼の歩んだ道のりがひとつずつ丁寧に刻まれている。
60歳になって一番成長したと語るエネルギッシュな還暦には
本当に驚かされる。
50、60はハナタレ小僧だそうだ。
彼が社長になりライブドアがどう変わり、どう進むか
興味が沸いてくる一冊といえるでしょう。
「絶望、結構じゃないか。それが、俺達の餌になるんだから」

ハゲタカ、それは企業買収を専門とした会社のことを指す表現である。
死にかけた企業の死臭と金に臭いを嗅ぎとり、それに群がるファンド
ホライズンインベストメント社の日本法人の代表である鷲津政彦の物語。
本書と本書の続きであるハゲタカ2(バイアウト)をNHKがドラマ化、
反響がとても大きかったようで、それがきっかけで
本書を手にされる方も多いのではないだろうか。
もちろん、私もその1人ではあるのですが。
鷲津政彦の視点として話が進むだけでなく
もう1人の主人公、三葉銀行の芝野健夫の視点からも話が展開される。
ドラマでは、家族、兄弟などを排除し経済を中心としていたが
人間臭さが垣間見える彼らの生活もしっかりと拝むことができる。
しかし、鷲津と芝野の視点の切り替わりが結構多くなっている。
そのため、どうしても脳内処理装置が混乱してしまい
何度か読み返すハメとなっているのが少し難点であった。
経済小説と称しているだけあって、ドラマと違って
多少、経済的な部分は複雑となっているが
著者が経済に疎い人にもわかるように丁寧に書かれている。
さすが、元新聞記者といったところだろう。
続刊であるハゲタカ2(バイアウト)を読みたくさせるような結末。
はたして、彼らは落ちているのか上がっているのか。
Webの新たな波と目されているWeb2.0という概念が
いつから言われはじめたのだろうか。
本書はそれにビジネスモデルのあり方を提示しようとしている姿勢が強く見える。


CGMは個人による情報発信の総称であることが多い。
限られた人でなく、そのページを閲覧している全ての人が参加できる双方向型で
mixiやAmazonなどもそれにあたる。
本書はここ数年にWeb2.0といわれるサービスで起こった出来事を題材にし、
どうして、ここまでこのサービスはヒットしたのか
そして、何故、この企業はサービスを使いこなせなかったのか
ということを解明している。
また、Web2.0と既存のメディアとの転換の難しさや
親和性の低さの指摘も非常に面白い部分であった。
読んでいると、このCGMという形態を最大限に利用した
CGMの申し子ともいえるmixiやAmzon.co.jpも
周回軌道にのった人口衛星のごとく簡単に落ちない衛星ではないと感じた。
ビジネスモデルとして収益を得る方法があまり確立されていなく
新たなサービスが付け入る隙がまだあるように見えてしまう。
これもまた個人が発信する情報で判断されるのだろう。
兎に角、周回軌道上から何度もロケットで加速させなければ
見るも無残に落ちてしまうのではないだろうか。
それも従来よりも早い形で。
見やすいレイアウトで読みやすいので
1時間程度で目を通せてしまうのですが十分納得できる内容であった。
本書のある一文を紹介しよう。
ブランド買いにこだわる僕たちだけど、「キレが違うから」なんて理由をいっているのは、実は後付け。
最初は直感で選んで、あとから自分で都合のいい言い訳をしているのだ。

購入のキッカケは理屈ではなく、”なんとなく”という無意識の部分にある。
一旦モノを買って、自宅であけてみると「なんで、こんなもの買ったんだろう?」
という経験はないでしょうか。
表紙からも読み取れるように中身もポップなイラストがちりばめられている。
文字数もさほど多くなく、上記のとおり難しい言葉も言い回しもないため
ビジネス書の中ではエンターテイメント性が非常に強い。
誰にでも”これはあるある”と思わせる26の具体例を述べ
小難しい言葉を一切使わず、誰にでもわかりやすいがビジネスの本筋を外れていない。
幅広い年齢層に読まれることを想定されているのではないだろうか。
人から聞いた、アマゾンレビューを見た、などクチコミの影響力にも
本書では疑問を投げかけている。
はたして、人は本当に他人から訊いた情報、得た情報で買い物をしているのか。
物やサービスを選び、買うという一連の行動の理屈を知りたいという人に強く勧めたいと感じた。